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経歴

 1949年京都生まれ、京都薬科大卒。薬剤師。病院勤務のかたわら中国十大名医の万蘇建氏に師事。北京軍区医学研究所で教師資格を取得;89年、国際リラクゼーションセラピー協会を成立、会長を務める。米国のトランスパーソナル研究所、および関西カウンセリングセンターの認定書を持つセラピスト。96年より毎日新聞東京本社毎日文化センター「医学気功入門講座」講師。
(第1、第3月曜10:15〜12:15)
デモンストレーションにショック受け
 大学卒業後、薬品メーカーの研究室で新薬の開発に携わっていたのですが、自分が開発に関わった薬がどのように使われているのか知りたいと思い、病院の薬局に移りました。そして直接患者さんと接するうち、西洋医学だけではカバーできない部分があると感じ始めたのです。

 西洋医学では本人の訴えてきた症状がなくなったり軽減されたら治療を打ち切ってる訳ですが、病気はそんな簡単なものではありません。一人一人背景が違います。院内を連れまわされる患者さんは弱い立場ですが、薬局にくるころになってようやく本音がでてきて、家族関係や仕事のストレスなど、病気をつくりだしている根本的な部分を話してくれるようになります。目に見える病気と目に見えない心の中の原因が」あわさって「病人」をつくるわけですから、両方よくならないと健康にはなりません。

 気功に出会ったのは1988年ごろ、それまで健康のためにスイミングスクールに通ったり、エアロビクスをしたりしていたのですが、一生続けるにはハードすぎると思っていました。もっと穏やかで何歳になっても出来そうなものがないかと考えていたところ、新聞で気功教室の広告を見つけたのです。

 会場になっているお寺に言ってみると、とても大きな会場に案内されました。
何か場違いな感じがしていたら、実は私が訪ねた受付は広告で見た気功教室とたまたま同じ日に同じお寺の敷地内で行われていた別の会だったのです。それが後に師事することになる万蘇建先生が8人のお弟子さんを連れて始めて日本に来られたデモンストレーションの会でした。

 西洋医学から見放されたような膠原病患者の顔色が見る見るよくなったり、延びないと言っていた手が動くようになったりするのを目の当たりにして、カルチャーショックを受けました。

 そして質疑応答の時に「患者さんと先生の間にエネルギーの流れを感じた私は薬剤師をしているが、体の中にその流れを作っておいてから薬を投与したら、薬の効果がより患部に届きやすくなるのではないかと思う。気功と薬を合併して使った場合の相乗効果はどうなんでしょう?」と聞きました。そうしたら、万先生はとても驚かれて、「それが自分のライフワークなんですよ」とおっしゃったのです。それで「この先生のなさっていることを習いたい」と思いました。

 その後万先生のワークショップに参加させてもらい、万先生が中国に帰られてからはあちこちの気功教室にも通いましたが、そのうちに物足りなくなってしまい3年くらいたってから、ある方を通して万先生の直弟子にしていただきました。病院の休暇を使い北京に行き、軍区の内部にある工人療養院に2週間ほど滞在。万先生のお弟子さんが朝晩、教えに来てくれました。当時軍区内部に外国人は入れなかったからです。

 その時もいろいろなカルチャーショックを受けました。まず、入院している患者さんがパジャマではなく普通の服を着て生活していること。一人一人が気功の処方箋をもらい、医者任せではなく自分自身が治療に参加する。食事も食事箋というものがあって、それを持って食事を作ってもらいに行くので、冷たいご飯ではなく作りたてを食べられます。食事治療をしている人は「薬膳部」、それ以外の人は「栄養部」という食堂に行きます。

 病院の中に西洋医学の治療をする場所と東洋医学の治療をする建物があり、入り口には医者の写真が並んでいて、患者さんが医者を選んで診てもらえます。西洋医学から東洋医学へ、反対に東洋医学から西洋医学へと、患者さんは医師の紹介状を持って行き来します。日本では病院にかかりながら、今日は鍼に行ってみようかとか、漢方茶を買ってみようとか、素人判断で西洋医学との併用やっている患者さんもあります。それを必要に応じて専門家間で併用するべきことを選んでもらうと患者は安心できるのです。

 病院の敷地の中には植物園や動物園があり、気功しながら憩いのときを過ごす土壌がそなわり、薬も西洋医学の最先端の薬から何千年の歴史を持つ漢方薬までそろっていて、医療選択の層の厚さを感じました。


 
実験で効果を実証
 万先生の診療所に行くと、最初は外気治療をして流れをよくしてもらい、それから按摩とかマッサージとか指圧のようなことをしてもらい、リハビリの必要な人はリハビリをして鍼をする、それから薬の処方せんをもらって、食事箋をもらう。それだけのことを一ヶ所でしてもらえます。自分も将来成長したら一ヶ所でそれくらいまかなえる場を作りたいなと思いました。

 日本に帰ってきてからは、病院に勤めながら土曜、日曜、祝日、そして早朝や夜も練習しました。高校生活、受験時代と悩まされてきた偏頭痛や腰痛、肩凝りといった症状がなくなり、気がつくと自分自身、病いから遠ざかり、病欠もなく強くなっていました。

そのうち友達と教室をひらいてみようということになり、週1回教え始めました。最初は先生2人に生徒1人という状態でしたが、口コミで少しずつ広がり、京都と大阪10ヶ所くらい教室を持つようになりました。

 それで病院勤めをやめて、パート薬剤師として勤めたのが京都市立病院前の調剤薬局でした。万先生は整形外科領域のリハビリが得意ですが、私は日本では生活習慣による半病人が多くなっているのを現場で感じていたので、糖尿病の運動治療として気功が使えないかと考えていました。

 ある日、京都市立病院の患者さんが主治医の代謝内科部長に、気功を習っている薬剤師さんがいると話してくださったのがきっかけで、糖尿病の患者さんの会で気功を紹介することになりました。その後、その会にいた患者さんの一人が「言われた通りやったら何か暖かいものを感じた」と教室を訪ねてきてくださったのです。その方はかなり重病で、気功をやってもらうには体力に問題があり、目が不自由だったこともあったので、通常のウォーキングをもっと安全な形にして、どうしてもなくてはならない気功の動作と呼吸法を加えた「気功ウォーキング」というものを新しく考えてみました。

 その方に教えたら一日30分くらい4ヶ月間ほど続けてくれました。そうしたら、先生から「血糖値が下がってきたので、薬をストップしてみましょうか」といわれるほど病状が改善されたのです。患者さんはとても驚いて、「実は…」と気功ウォーキングの話をしたところ、今度は先生の方が驚かれて、入院患者にも指導してほしいといわれました。先生や看護婦さんも一緒になって気功ウォーキングをするようになり、いろいろな人に良い効果がでてきました。
 そこで、アトランダムに5人の患者さんを選び、ブドウ糖を摂った後に30分間気功ウォーキングをして、血糖値を経時的に測定する実験を先生にしていただきました。その結果、初めて気功ウォーキングを経験した方が25%くらい下がるなど、ほぼ全員の値が下がりました。今まで、万歩計を付けて通常のウォーキングをしてもらってもそんなに急に下がるということがなかったので、先生が糖尿病研究会というところで話をさせてくださいました。
 その時、発表を聞いていた運動療法を研究している先生(当時京都大学助教授)は、気功ウォーキングについて、全身の中で一番大きな筋肉である大腿部の筋肉に負荷をかけることで糖の消費量が増える。呼吸法がついているので有酸素運動になっている。普通のウォーキングより脈拍があがらない。だから高齢者や心臓に負担がかかってはいけない人でも出来るし、動作がゆっくりなので膝が悪くて激しい動きが出来ないような方でも出来ると、西洋医学の立場から分析してくださいました。

 その後、10人の患者さんを対象に医学的調査をし、気功ウォーキングは通常のウォーキングと同じくらい血糖値は下がるが、脈はあまりあがらないので安全性の上で適用範囲が広く勝っているということがわかりました。

 その結果を97年に中国の「世界糖尿病会議」やアメリカの「世界気功検討会議」で発表しました。これからはアメリカやヨーロッパなど、世界各地でいろいろな病院の先生に多くの実験をしていただき、検体数を増やしていただくとともに、もちろん日本のお医者さんたちにも、気功ウォーキングという安全な運動療法を実行できる場をたくさん作っていただきたいと思っています。

99年11月、アメリカ糖尿学会(ADA)から、永久学科員として招聘されました。


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